「PSF550-VDR」を購入して約3年が経ちました。購入後にすぐCNC化しましたが駆動ねじはノーマル仕様の台形ねじをそのまま使用していました。当初はそんなに気にしなかったのですが台形ねじのバックラッシが大きくて思うような精度が出ないのが気になりはじめました。交換作業も出来るぐらいスキルが付いたと思うのでボールねじに交換をする事にしました。とりあえず全軸ボールねじ化を考えています。なんせ素人で初めて交換するので勝手が全然分かりません。時間の制約も有る中での交換作業になります。交換計画と致しましては1軸ごと交換して行きます。まず初めにY軸を交換します。初心者?でも交換は可能ですので同機種のユーザーはこの記事を参考にしてもらえると幸いです。この記事は交換作業記録(MY備忘録)です。
Y軸 THK BTK1404-3.6ZZ BALL SCREWS ボールねじ 調整加工
前記事Part 3からの続きです。Y軸をボールねじ化してテスト切削をするとステッピングモーターのドライバーが2個、立て続けに壊れてしまいました。ドライバーへの過電流/過電圧が原因と見て探るとY軸のねじが重い事に気づきY軸の調整不足と推測しました。
何も考えず取り付けた(ポン付け)のでボールねじがかなり重かったです。軸の芯が出ていない状態でした。これじゃあ常にモーターに負荷トルクがかかり危ない状態です。不思議な事に脱調はしませんでした。
また、もう一つの原因としてボールねじの引きねじ(引きナット)が締めすぎでした。
ボールねじの軸芯を出して行きます。ボルトを外してフリー(水平)状態での穴の位置を探ると・・・
左右両方とも数ミリずれてます。この状態でボルトを締めるとねじサポートが上方向に傾き上下左右の水平が狂ってきます。当たり前ですね。
全体的に数ミリ下方向にずれています。
修正を行ないます。修正方法は既存のボルト穴を広げて調整状態でねじ穴にボルトが入るようにしなければなりません。
取り合えず様子を見るためにΦ10mmのドリルでサポート側のボルト穴を広げました。
ドリルの芯を合わせてから広げます。
加工した物を取り付けて様子を見てみました。バッチリ収まりそうです。
サポートの水平を見ながら反対側も何とか収まりそうです。
既存のザグリは消滅してしまいましたので、この穴をカバーするカラー(ワッシャー)の製作が必要になりました。
Y軸 サポート固定ボルト用 真鍮カラー 製作
手持ちの真鍮丸棒を使ってカラーを2個製作します。
中心穴はΦ6mm
外径を少々切削して光沢を出しました。
面を取って厚さ4mmでカット
ボルトの長さも足らなくなったのでステンレスボルト25mmで固定。
取り付けて見ます。
左右どちらも本体に干渉せず収まりました。
完成です!
Y軸 カミソリ 調整加工
ばらしたついでにカミソリの調整をしました。
Y軸のガタがあるので調整してみました。
定盤代わりにテーブルに置いて見ると反りが見られました。
1~2mm程度の反りです。
油圧ジャッキで軽く押して様子を見てみたところ、反りが無くなりました。
仕上げにオイルストーンで摺動面を研磨します。
初心者なりに水平を意識して研磨しました。研磨しないよりかは平面が出たと思います。
Y軸 単式スラスト玉軸受 交換
Part1でも書いたが単式スラスト玉軸受をNSK製の物に交換してみた。効果はどのくらいあるかは分かりません。
単式スラスト玉軸受 型式:51101 内径Φ12mm 外径Φ26mm 幅9mm。
奥に挿入されている受けリングが簡単に取れなかったのでそのまま使うことにした。圧入されている??時間ができたら再度チャレンジしてみようかな。
取り合えず、玉と上の受けリングを交換。
玉軸受自体は回転はスムーズです。
テスト切削 調整後の結果 今後は・・・
交換調整後のテスト切削です。まずは調整前の切削テストから。
テスト切削は当方自作のアユプロアルミ台座の輪郭切削でテストしました。
Y軸方向に波模様が強く出来てしまいました。指で触ると凹凸になっているのが分かります。
波模様のピッチがボールねじピッチと同じ4mmなのでおそらくボールねじへの振動がワークに影響していると思われます。この波模様は台形ねじでも見られた事象です。台形ねじはピッチが2mmだったので2mm間隔で縦線がありました。
続きまして調整後のテスト切削です。アップカットで仕上げ切削しましたので光沢が出ています。
写真では見ずらいですがうっすらとは縦溝が有ります。調整前よりは少し良くなりました。
軽く研磨パッドで研磨すると綺麗になりました。ですがよーく見るとうっすら・・・
次にテスト切削で試した方法が切削位置をずらすと言う方法です。切削可能範囲ギリギリの上方に移動させて切削してみました。どうしてもY軸のアリ溝部分がむき出しになっている箇所が怪しいのでなるべくカミソリが接触するような切削で試しました。限界は有りますが・・・
結果はおおむね良好です。妥協できるレベル(ホビー用として)ではありますが、更なる精度を追求したくなる感じです。
どうしても上記の写真部分のガタが修正出来ないです。機械の構造的限界ではないかと思います。
↑メカニクス 小型フライス盤 TNF-250本体が欲しい・・・高いですね・・・w
フライス盤「PSF550-VDR」CNC Y軸の限界?!
Y軸の精度限界についてYahoo知恵袋で質問して玄人さんに解答を得ました。(玄人様の解答はオリジナルのままではありません)
質問は以下の通りです。
卓上フライス盤全般のY軸アリ溝の精度について 当方のフライス盤についての相談です。Y軸でガタが発生します。 卓上フライス・旋盤全般に言えることですがY軸アリ溝がむき出し?になる位置があると思いますが、この状態の時はむき出しになっていない時よりも精度は落ちていますよね?ここで言う精度とは「ガタ」と言う意味です。カミソリ面が全て接触する場所(テーブル中央)でガタ無く完璧にカミソリを調整してもむき出しに状態になればガタは発生しますよね?と言う質問です。むき出し状態の位置の時にビビリが発生します。 ガタ無く精度を上げるにはリニアガイドに変更したりしなければなりませんか? 調整次第で精度を上げる事は可能なんでしょうか?アリ溝の限界?? 一方、X軸は常にカミソリが接触しておりガタが発生しません。 詳しい方の見解を宜しくお願いします。
アリ溝がむき出しになる位置では当然に剛性が下がる!
ストロークを稼ぐため無理した機械!
リニアガイドは却って剛性を下げて逆効果!
アリ溝の修正にはキサゲした基準定規が必要!
構造上の問題は治せないとして諦めて、程度の良い中古を探すか、使い続けるなら軽い加工にとどめましょう。
ご解答ありがとう御座います。ご回答、大変参考になりました。
やはりむき出し部分は剛性・精度が低下しますよね。
卓上中華フライスの限界ですかね。
アリ溝をやめてリニアガイドに改造すればガタがなくなると思ったのですが剛性が低下するのですね。国産リニアガイドを標準?よりも大きい物(剛性が強い)を使えばある程度の剛性低下をカバー出来ますでしょうか?「構造上の問題は治せない」との事なので構造自体を変更せざるおえないと素人ながら思ったのですが・・・
加工のワークは主にアルミです。
アリ溝がむき出しなるのがなんとなく気に入らないです。
フライス盤はとにかく重量勝負!!
軽いと振動が抑えきれずに加工面が荒れる!
国産リニアガイドのローラタイプは剛性あるも桁違いに高く、改造で付けれる余地が無い!
上記を踏まえ「Y軸のリニアガイド化」を模索しています。構想は頭の中で出来ています。部品も揃っていますので計画を実行できるように進めて行きます。
完
にほんブログ村
コメント